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2016.03.29 (Tue)

あなたを待っています-13-




 図書館から出てきた淡雪は井草の声に反応し、ゆっくりと顔を上げる。
「……先輩」
 井草の姿を捕えた淡雪は覇気のないか細い声で呟く。瞳に映る淡雪の瞳はどこか虚ろで、光が弱い。
 だがそれに気づかない井草は淡雪の近くに近寄って問い質す。
「どうして今日集まり来なかったんだ?」
「……あー、すいません。ちょっと図書室で寝ていました」
 怪訝に問いかける井草の言葉の意味を悟った淡雪は素直に謝った。ふてぶてしい欠席理由に井草は眉を顰めた。
「寝ていただと!? お前――っ」
 東郷や羽場は淡雪を心配していた。それが自分の私欲のためだとしても。
 それなのに淡雪は悠々と寝ていて欠席したなどありえない。
 怒気を宿した瞳を細めた井草は目の前の男を説教しようとした時、淡雪は顔を背けごほごほっと咳をした。
「……お前、風邪か……?」
 何度も咳を繰り返す淡雪に井草はじっと見つめ問いかける。だが咳の止まった淡雪は首を振った。
「……違います」
 そう言うが淡雪はまた咳をした。痰が絡むような重く苦しそう咳だった。
「……そう言えば顔色悪いな」
 口を押えて咳をする淡雪の顔を見る。
 淡雪の白い顔がより青白くなっている事に気づく。それに瞳の色はとても弱弱しく、唇の色も薄い。普段纏っている華やかで上品な雰囲気がなく、今はただ正気がない。
 そんな淡雪に井草は危惧するも淡雪は迷惑そうな色を湛えた瞳で井草を見た。
「……大丈夫ですので気にしない下さい」
 これ以上関わるなとでも言うような口調に井草は苛立った。
「心配するわっ!」
 目の前にいる明らかな病人に大丈夫、だと言われても説得力はないし、それを見逃す程良心がないわけではない。いくら妬ましい男だと思っていても心配する心はある。
 井草は淡雪の額に手を当てた。熱い。
「熱あるだろっ!」
 井草は噛みつくが、淡雪は嫌悪を露わにした表情で井草を見る。
「熱あるし、顔色悪いお前を放っておけるか! 色白な顔がもっと白くなっているぞ! 保健室行こう」
 淡雪の手を引いて保健室に連れて行こうとするも、淡雪はその手を払った。
「本当に大丈夫ですから関わらないで下さい」
 有無を言わせない冷えた低い声で言い放たれる。いつもの穏やかな声とは全く違う迫力のある低音に胃がひやりとした。
 だが淡雪の黒い瞳に宿っていた唯一の光がふっと切れると、突然目を閉じ、目の前にいる井草に倒れ込んだ。

「……淡雪!?」

 いきなりの事に驚きながらも倒れ込んだ淡雪の身体をきちんと支える。
 倒れ込んだ淡雪は苦しそうに荒い息を繰り返す。服越しでも分かるくらい淡雪の体温は熱かった。



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