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2016.04.27 (Wed)

あなたを待っています-28-









「うわ~! みんな良い顔してるーっ!」
「この写真綺麗に映っているね」
 東郷奈津美と望月真里菜が沢山の写真を広げながら騒ぐ。
 二週間前に行った旅行の時の写真を東郷が現像したということで、中庭にあるベンチと椅子が設置された場所で写真を見ていた。
「うわっ、この馬鹿ヅラサイコー!」
「何この半目! キモイんだけどっ!」
 白目をむいて口を半開きにした井草の写真を見て二人はゲラゲラと笑う。
「お前ら失礼だろ! と言うか、いつの間に写真撮ってんだよ! 気分悪いヤツの顔撮るなんて言い趣味だな!」
 井草はジェットコースターに乗った後に撮影された写真を指差しながら声を荒げる。
 絶叫マシンは特に苦手ではないが、さすがに三回も乗ったら気分も悪くなる。だが知らぬうちに写真が撮られていたとは思わなかった。
「まあ、井草は白目だろうと普段と変わらないんだけどね。ぷぷっ」
「そうだねー。逆にこの顔の方が、箔がついていいかもね。あはっ」
「お前ら本当に失礼だろっ! 口を慎めっ! 俺をいじめて楽しいのか!」
「楽しい! チョー楽しい!」
「私たちは井草をいじめるのを生きがいにしているの」
 東郷と望月は声を上げて笑い井草をからかう。それに井草は怒る。
「……先輩たちって仲良いですよね」
 その光景を見ていた淡雪はぼそりと言葉を吐いた。
「はあ!? よくないっ! 勘違いするな!」
「そうだよ、淡雪くん! こんなヤツと仲良いわけないよ! ありえない、ありえないっ」
「井草は弟みたいなものだからね、仲良いとかそういう関係性じゃないよ。下僕だよ、下僕」
「井草なんかより私たちは淡雪くんとお近づきになりたいな」
「井草の事よりも淡雪くんの事もっと知りたいんだけどね」
「お前らっ!」
「へえ――……」
 騒ぐ三人を見て淡雪は遠い目をしながら、小さく呟いた。
「あ、これ見てみて」
 東郷が一枚の写真を井草に渡した。
「なになに? ……あー、井草と淡雪くんが一緒に映っている……」
 受け取った写真を覗き込んだ望月がげーという声を出すと、井草は自分に引き寄せる。
「なんでそうガッカリしたような声出すんだよ。別に良いだろ、一緒に映っていても!」
 その写真を見ると、ラベンダー畑で二人話した時の写真だった。二人でただラベンダー畑を見ていると、井草達を呼びに来た東郷達が撮ったのだ。
「淡雪、見てみろ」
「何ですか?」
 東郷から渡された写真を見せる。
「ラベンダー畑で撮った写真。綺麗だろ?」
「自画自賛?」
「自分を褒めてんじゃないわ! 風景が!」
 一面に広がるラベンダーは色鮮やかで、写真から心落ち着く香りが香ってきそうだった。ラベンダー畑の隅には山や澄んだ青い空、風車等が写真に入り、大自然に囲まれた綺麗な写真だった。
「あの時のラベンダー綺麗だったよな。凄く落ち着いた」
「そうですね、綺麗でしたね」
「また行きたいな」
 井草は満面の笑みを浮かべると、淡雪の表情は少し固まったが、目を伏せて薄い唇を緩めた。
「……ええ、行きたいですね」
 すると軽快なリズムが鳴る。
「……すいません、俺です」
 そう言って淡雪はスラックスのポケットに入れていた私用の携帯電話を手に取る。
 着信者を見ると珍しい名前が表示されていた。それを見て淡雪は席を立った。
「淡雪?」
 立ち上がった淡雪を見て、井草は声をかける。
「……ちょっと電話出てきます」
「ああ、分かった」
 井草は淡雪を見送った。
 その場を離れた淡雪の表情が一瞬氷のように冷たくなったように見えたが、きっと気のせいだろうと思い、再び先程の写真に視線を向けた。
 井草は笑っていたが、淡雪は唇を小さく緩めただけの写真。だが井草には不器用に笑っているように見えて可愛く思えた。井草はほくそ笑む。
 その電話以降、淡雪は学校へ来なくなった。



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