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2016.05.11 (Wed)

あなたを待っています-34-



 次の日の朝、再び淡雪の祖母の病室に訪れた。
 来た時はまだ眠っていたが、淡雪と要りようの物を整理して、部屋を綺麗にしていたら淡雪の祖母は目を覚ました。
「……ソラ……」
「おはよう。気分はどう?」
「平気よ。心配しないで」
 淡雪はベッドに眠る祖母の近くに歩むと、顔色を伺う。すると淡雪の祖母は静かに笑った。
 そして淡雪の祖母は、淡雪の背後に居た井草の姿に気づいた。
「……どなたかしら?」
「この人は大学の先輩。井草さんって言うんだ」
 淡雪は井草を前に立たせて紹介した。
「そう、先輩なの。いつも孫がお世話になっております」
 淡雪の祖母はシワの出来た口元を優しく緩めて、弱弱しく手を差し出した。点滴の管がついた細くて白い腕を目の前にして、井草は何とも切ない気持ちになり、痛くならない程度にぎゅっと握った。
「お世話しています! 井草です! 宜しくお願いしますっ」
「お世話になっていません。逆に俺が世話しているんです」
「お前っ!」
 さらりと酷い事をいう淡雪に噛みつく。その光景を見ていた淡雪の祖母は驚いたように表情を固めるも、すぐに柔和な笑みを浮かべた。
「仲が良いのね、バーブシィカ嬉しいわ」
 嬉しそうに笑う。まるで春の華が舞うような柔らかい笑みだった。
 その顔を見て井草同様、淡雪も安心したように笑った。
「淡雪さん」
 すると突然、背後にあるドアから声が聞こえた。そこには看護師が立っていた。
「先生からお話があるので、来てもらっても良いですか?」
「はい……」
 一気に和んでいた雰囲気が沈み、静かになる。そして淡雪はその場を後にした。
 病室には井草と、淡雪の祖母だけが残る。
「無関係な人間が来てすいません……」
 近くにあったパイプ椅子に座りながら話しかけた。
「いえ、良いんですよ。それにソラが友達を連れて来たの初めてなので嬉しいわ」
 友達ではなく、先輩なのだが、と思ったが淡雪の祖母が嬉しそうに笑うものだからそれは言わなかった。
「……ソラは学校でも家でも一人だったから、本当に嬉しいわ……」
 遠い目をしながらぽつりと言葉を吐いた。
「私の中のソラは6歳のまんま。小柄で心優しい孫のまま……」
「大分成長しましたけどね……」
「そうね、本当にそう」
 クスクスと笑いながら話を続けた。
「……十二年ぶりに会ったから最初はソラだって分からなかったわ……」
「そんなに久しぶりなんですか!?」
「そう、久しぶりなの――……」
 こしゅこしゅっと、呼吸器の音が静かな病室に響く。
「あの子の母親――アンナが会う事を許してはくれなかったから……」
「淡雪の母親は少し淡雪に厳しいですよね……」
「アンナに会った事があるの?」
少し驚いたように瞳を大きくさせ、井草を見つめる。
井草は小さく頷いた。
「淡雪の仕事現場に行った時に……、あ、あいつ今はモデルの仕事しているんですけど、……そのモデルの現場に行った時に偶然会いました」
「そうなの……、ソラがモデルの仕事をしているのね……。立派になったわね……」
 嬉しさを噛みしめるようにゆったりとした口調で淡雪の祖母は言葉を吐いた。
「……ソラに対して厳しいのはね、私の所為なの。アンナは、何も悪くない」
 青い瞳を閉じて、重い口を開いた。
「悪いのは全部私なの」
 自分自身を責めるような尖った言葉が病室に落ちる。




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