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2008.11.22 (Sat)

秘する私情−2−

 
 恋愛経験もなければ、セックスの経験など、あの一夜だけで皆無に等しい。だからもしそれが嘘だったとしても、それを誰かと比べることが出来ない為、自分は下手なのだと、面白みのないのだと、そう思うしか他無かった。
 だから、怖いのだ。無意識にセックスという行為を拒絶しているのだ。
 もし南条とセックスをして、つまらないだとか、下手くそだったとか思われることがとても怖い。それで嫌われてしまうのではないかと思ってしまう。
 その所為で身体が強ばり、震えているのだ。
 嫌われたくない。
 でも今の雰囲気を壊したくないから、過去に酷いことを言われてセックスが怖いのだと言い出せないし、そんな勇気もなかった。それにそれを言ってしまったら自分が惨めになってしまう。
 恐怖と嫌いに挟まれながら、早乙女は一体どうして良いのか分からなかった。

 そんな早乙女を見て、南条は表情を歪め笑んで、早乙女の前髪を上げキスをした。
「・・・嫌だったら良いんだよ」
 そう言って南条は早乙女から離れた。
 それを見て早乙女は、慌てて上半身を起こす。

「嫌じゃないです!大丈夫です、大丈夫なんです・・・」
 嫌われてしまったのかと、行為に慣れていないようだったから呆れられてしまったのか。
 そう考えてしまうと、自分の気持ちなどどうでも良かった。
 早乙女は首を振って縋るように言った。そんな早乙女を見て、南条は困ったような表情で笑むと、南条の唇を早乙女の唇にあてた。
「・・・・っ、・・・ん」
 ざらついた熱い舌で唇を舐められ、それで無意識に出来た隙間から舌が入り歯列を割るとゆっくりと口腔をまさぐられた。
 上顎、歯列を肉厚の舌でなぞられると、無意識に引っ込めていた舌を捕らえられ強く吸われる。
「・・・・ぁ、っ・・・」
 甘く吸われ、先を軽く噛まれる。
 そしてそんなキスの間、剥き出しになった早乙女の白い肌に南条は手を入れ撫でた刹那、身体がぞくぞくっと甘美な電流が走ると同時に、胸が一瞬圧迫され身体がガチガチになってしまう。
 嫌なんじゃない。南条に触れられて、南条に触れられて、嫌なわけがない。
 南条の熱は温かく、気持ちが良く癒される。抱きしめ合ってそう思った。なのに、今感じる南条の体温が怖い。
 正確に言えば、この先の行為をしようとする南条の体温が怖いのだ。
 この先。キス以上。セックス。
 キスより先もしたいと思っている。願っている。なのに、身体はそれを裏切り、拒否する。心は怖いと訴えている。
 南条はそんな早乙女の心情を見抜いてか、唇を離して、優しく早乙女の頬に触れた。

「・・・こんなにガチガチになっているじゃないか、怖いんだよ」
 怖い。南条に思っていたことをずばり当てられて、ドキッとする。
 セックスを拒否し、南条を拒否した事を怒るのだろうか。
 嫌われるのか。呆れられるだろうか。その言葉が頭をいっぱいにして、気持ちが重くなる。

「・・・焦らないで良いよ。君が良いと思った時まで待つよ」
 だが、南条は責めることなく、慈しみや愛しさが含んだ優しい瞳を細めながら言った。

 そんな寛容な南条の言葉を思い出しながら、鏡に映っている自分を見つめた。
 オフィスから見える空はこんなにも晴れ澄み切っているのに、自分の心はどんよりとして重い。

 あれから何度も、キスはした。軽い挨拶のようなキスから情熱的でアダルトなキスもした。だがキス以上は出来なかった。怖くて、無理だった。
 無意識にあの罵る台詞が脳裏に浮かび、身体が強ばり震え、南条を拒否してしまう。
 そんな早乙女を責めることなく、ずっと待ってくれている南条に申し訳ないような気がしてならない。
 心は南条の熱を欲しているはずなのに、気持ちはキス以上をしたいと思っているはずなのに、出来ない。欲しているはずなのに、心のどこかで南条を拒絶している矛盾が早乙女を板挟みにし、苦しめ焦らす。
 そんな気持ちに苛まれながら、時間は刻々と過ぎていくが、それでも早乙女のトラウマを克服する兆しは全くなかった。

テーマ : 自作BL小説 ジャンル : 小説・文学

21:23  |  秘する私情  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

■ぐわぁ〜〜〜〜!!

うほっ♪続編だ〜〜!
と喜び勇んで来てみたら・・・・・orz

アイツのせいで〜〜〜〜!!!!!
シャチョ待っててくれてるけど、辛いだろうな・・・(;´Д`)
早乙女チン、大丈夫だよ〜〜。
シャチョなら大丈夫だから〜〜〜!!
と言っても、早乙女は駄目なんだろうなぁ(;´Д`)

このペースで行ったら、また5年かかりそうな気が(苦笑)
柚子季杏 |  2008.11.22(土) 23:30 |  URL |  【コメント編集】

■管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2008.11.23(日) 05:55 |   |  【コメント編集】

■ありがとうございます(^・^)

はじめに、「秘する心情」お疲れ様でした。新シリーズの感想から書かなきゃいけないのにコメントしちゃいます。ごめんなさい。
南条と早乙女の心が通じあえて本当に嬉しいワーイ♪ゝ(▽`*ゝ)(ノ*´▽)ノワーイ♪
紆余曲折あり、早乙女にしたら長い長い冬のような片思いが終わりを迎えられて本当によかった〜!
そして、早々の「秘する私情」スタートありがとうございます。
でも、早乙女の苦悩は、南条と晴れて恋人になれたことで、より深くなっちゃいましたね(_TдT)
それもこれも、憎き名取のせいだ!
早乙女の、南条と身体も繋げたいという心と、傷ついた心を反映して拒否する身体に苦悩するところが痛々しい・・
二人の愛で、なんとか乗り越えて欲しいよ。がんばれ南条・早乙女〜
くろきち |  2008.11.23(日) 06:20 |  URL |  【コメント編集】

■わっほい\^O^/ww

>柚子李さま
また懲りず、続きました!『秘する』です^q^*
またまた暗いお話から!でも、きちんとラブラブになる予定ですよ*^U^*
あいつの所為でPTSD(トラウマ)になってしまった早乙女ですが、これからどういうふうになってしまうのでしょうかね^w^
でも、これだけは言えます!五年は経ちませんよ!!笑
五年経ってしまったら南条が不憫でならん!それまでに片を付けますので、大丈夫です☆
書き込み有り難うございましたw

>マナさま
ラブラブ編です、っと言っていながら最初からディープですね^^シリアスです!でも比較的あまりシリアスな話しではないので、そこまで深く考えなくても大丈夫だと思います!^^うん
早乙女は無知な子なので、何をすればいいのかとか自分がどうあるべきなのか分からないので(別にそんままでも良いのに、そこは変に考えてしまう子)不安なって悩んでいるんですよね*^O^*
そんな早乙女ですが、応援してやってくださいね!
書き込み有り難うございましたー!!

>くろきちさま
いいですよー!感想くれるだけで幸せですwwムフフ…!!←キモイ
五年間も好きで、報われなかったら逆にもう切ないですよね^^きっとあれで心が通じていなかったら、きっと早乙女誰とも恋に落ちていないと思いますよ!笑←笑い事じゃないですが!!
私も今更、早乙女が幸せになって良かったと思っています!^w^

『心情』は片思い編でしたが、今回の連載は『私情』でラブラブ編なので前よりシリアスではないと思いますよ!(前のはスゲー片思いでしたが/笑
名取の所為で南条を無意識に拒否している早乙女ですが、これからどう展開していくのか楽しみにしていただけたら、嬉しいです*^∞^*
書き込み有り難うございました!^皿^!
まじきみ |  2008.11.23(日) 20:50 |  URL |  【コメント編集】

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